ドラッグストアの行列に並んでみた話

朝、朝食のパンを切らしていたので、少し散歩がてらパン屋に行った。

その道中、ちょっと気になったのでドラッグストアに寄ることにした。マスクがあるならば仕入れておきたかった。この時分はマスクをする予防効果よりもつけていないことに対する他者の目線が気になる。

マスクがあるとは期待していなかったので、ちょっと覗いてマスクがなかったらなかったで切らしてる日用品だけでも買おうという軽い気持ちだった。

開店は10時。着くまでは9時からやってると思っていたので、店先についたのは9時半すこし前。そこには既に人だかりがあった。数はおよそ40人弱。なかなか多くの人が集まっている。マスク入荷の知らせなどあったのだろうか。

行列など、首都圏とかじゃないとないもんだと思っていたので、この地方都市で目にしたことには意外の感があった。ちょっと興味を起こした自分は、とりあえず並んでみることにした。マスクが手に入れば僥倖、手に入らなくても「並ぶ」という経験は面白いぞ、と思ったのだ。

行列に並んでいるのは、ほとんど高齢者か子供連れ。学生街のすぐそこなのだが、大学生らしき姿は見えない。ほとんど全員マスクをしているが、散歩だけの気分で外に出たハンダはしていない。すごく浮いていた。ふとこれは濃厚接触ってやつになるのでは、とも一瞬考えたが、そも、屋外で、40人ばかりいると言っても、そこそこ間隔はあいている。問題はないだろうと考えた。

そんなこんなで列についたわけだが、ここからは行列の状況について時系列を追ってみよう。Twitterで実況してたので、知ってるひとはいるかもしれない。

9:30 ハンダ、列に並び始める。40人ほど。

9:40 列はどんどん伸びる。列を見た通行人が「うわあ」というくらいには長くなる。自分の後ろにおよそ20人強並んでいる。

9:45 このくらいで自分の視界から列の後端が見えなくなった。すごい。80人くらいはならんでいるのではないか。

9:50 まだ列の後ろに並んでいく様子がうかがえる。このころになると列を見てあきらめて帰る人も見られる。

9:55 店員さんが出てきて何か言う、自分の位置からは発言聞き取れず。前の方の人が10人くらい人列から離脱する。マスク品切れ、ということだろうか。

10:00 開店。店員さんのアナウンス、マスク・消毒液の入荷なしとの旨聞き取れた。とりあえず、これだけ並んだんだから中の様子を見ることにしようと列に従って入店する。

開店後 開店のオペレーションがまずく、一斉に客がなだれ込む。この地方都市のドラッグストアでこんなことが起こるとは。離脱しようとしたが、逃れられず、とりあえず流れに従う。

流れの先にはトイレットペーパーやティッシュペーパーの売り場があった。これらの在庫は結構あるように見えたが、前方の人はこれらをどんどん手に取っていく。特にこれらの備蓄に不安はなかったので流れから離脱。離脱したころには棚の空白が目立っていた。取り合いという感じではなく、混乱している感じはなかった。流れ作業で一つずつ取っていく感じで、なんとなくバイキングや給食の配膳を思い出した。

レジは大混雑だったので日用品を買うのはいつでもいいやと退却。出がけに何人かは店員さんにマスクか消毒液の入荷の予定を尋ねている様子が見えた。

 

退店後 店を出ると、まだ行列の後ろの方の人は入店できずにいた。あまり長くいてもしょうがないので、ここでドラッグストアから撤退。目的のパン屋に向かった。 

 

結局、マスクや消毒液が入荷することはなかったわけだが、行列に並んでいる人は何を求めていたのだろうか。耳をそばだてる限り、行列の目的の多くは自分と同じくマスクだったように見受けられる。しかし、入店後にとった行動はティッシュペーパーやトイレットペーパーの購入。並ぶだけならんだんだから、とりあえず買っとけみたいな行動に見受けられた。気持ちはわかる。30分以上も並んで、目当てのものが見つかりませんでしたじゃ収まりがつかない。その代償として狙われたのが、ティッシュペーパーやトイレットペーパーだったというわけだ。

 

結果的に冷やかしだけをする悪い客になってしまった。申し訳なさがあるので、必要な日用品は後日当該ドラッグストアで買っておこうと思う。しかし、この目で品薄の発生過程に参加できたのは僥倖であった。まさに自分が群衆の一員となっていたのである。その群衆の一員として感じたことをまとめとして今日の記事とした。