国立公文書館に行ってきた

1. 国立公文書館と中国史研究
国立公文書館というと近代日本の公文書が収められているイメージが強いが、中国史研究にも裨益する史料群が存在する。
公文書館には「内閣文庫(内閣大庫ではない!)」と称される計49万冊のコレクションが所蔵されており、これには江戸時代の紅葉山文庫昌平坂学問所などに由来するテキストが含まれている。このテキスト群には、多くの明清時代の漢籍が含まれており、これらは同時期の中国(あるいはユーラシア)史研究にとって重要な位置を占めている。
一般に知られているところでは、太祖・太宗・世祖の三代の皇帝の年代記である『三朝実録』という史料は、手抄本であることに由来する利用上の注意は存在するものの、現在通行している乾隆期の編纂によるテキストではなく、康熙期に編纂されたテキストをベースにしているという点で高い史料価値を有しているとされる(今西春秋1935a,b、神田信夫1993/2005)。なお『三朝実録』は画像データをweb上で閲覧することが可能である(国立公文書館 デジタルアーカイブ)。

 

2. 国立公文書館へのアクセス
つくばから国立公文書館へのアクセスは交通機関を用いるとやや面倒である。公文書館の最寄り駅は地下鉄東西線竹橋駅である。この竹橋駅にアクセスするには、北千住から地下鉄日比谷線か千代田線に乗り、そこから茅場町(日比谷線の場合)か大手町(千代田線の場合)で東西線に乗り換える必要がある。北千住駅の乗り換えは、千代田線よりも日比谷線の方がアップダウンが少なく楽。竹橋駅からは、5分もかからずに公文書館にたどり着くことができる(どこぞの国会図書館より楽)。
なお、秋葉原から歩いていけないこともないので(神保町に寄り道しなければ30分くらい?)、その場合は乗り換えなしで行くことができる。

3. 国立公文書館への入館と初回の手続き
国立公文書館の1Fは展示室になっている。入場料は無料で定期的に展示の内容は変わる。
閲覧室は2Fだが上がる前に入ってすぐの受付にいる守衛さんから許可証をもらう必要があり、初めての閲覧に際しては住所などの確認のために所定の書類への記入を求められる(閲覧室で利用カードが発行されるので二度目以降はこの手続きは不要とのこと)。これに加えて今の時期は体調のヒアリングシートを記入しなくてはならない。
2Fに上がると閲覧室がある。閲覧室への持ち込み物には制限があり、100円の戻ってくるタイプのコインロッカーに荷物を入れる必要がある。この制限は国会図書館とほぼ同じである。なお、トイレと自販機は同じ階にある。
閲覧室に入って、1Fで記入した書類を受け付けに示すと、仮の利用番号を発行してくれる。この利用番号で資料の請求を行う。

 

4. 資料の請求
資料の請求は、国会図書館と同じく備え付けのPCから行う。マニュアルが備え付けられているので、初めての訪問でも支障はない。請求した資料は、他に請求している人がいない状態で10分程度で来た。貸出、返却は、どちらも同じ受付で済む。

 

5. 資料の閲覧
閲覧室には閲覧のための大机が6つほど設置されている。
(今回請求したものの場合)閲覧している資料の写真撮影は自由であった。自分はスマホのカメラで撮影したが、カメラなどの機器を持ち込むことも可能らしい。また、ガラス文鎮や付箋などは備え付けのものがあり、自由に利用することができる。
ネット環境としては、無線Wi-Fiがあるほか、コンセントも備え付けられている。

 

6. 資料の返却、退館
資料を受付に返却したのち、発行された利用カードを受け取る。その後、荷物などをまとめ、1Fに下りる。初めにもらった許可証を受付の守衛さんに返却する。


参考文献
今西春秋(1935b)「清三朝實録の纂修 (下)」『史林』20(3)
今西春秋(1935b)「清三朝實録の纂修 (下)」『史林』20(4)
神田信夫(2005 初出1993)「日本に伝存する「清三朝実録」の来歴について」『清朝史論考』山川出版社